書評の道

主に本の読書感想を行っています。ジャンルは、実用書、歴史が比較的多いです。


【書評】「決算書はここだけ読め!」:タイトルに偽りなし

仕事をしていく中で、貸借対照表や損益計算書といった会計書類を読む機会がある方は多いと思います。しかし、複雑な勘定科目と数字がずらっと並んでいる姿を見て、何をどう分析するのかわからず苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか(僕自身もそうでした)。

僕も決算書の入門書に関しては色々と読んでみたのですが、難しい内容のものも多かったです。そんな僕が今まで読んできた中で、決算書の読み方についての一番のお勧めはこの本です。

 

前川修満「決算書はここだけ読め!」(講談社現代新書

決算書はここだけ読め! (講談社現代新書)

決算書はここだけ読め! (講談社現代新書)

 

「読み手の会計学」からの視点

 

この本の何が魅力的かというと、徹底的に「読み手の会計学」の視点から書いてくれているところです。

会計士や経理担当者といった「作り手の会計学」からの視点では、どうしても決算書を作成するための難しく細かい話が必要となります。しかし、多くの人にとっては「作り手」としてではなく「読み手」として決算書を読む立場ですので、そのような話をしてもニーズに合致せず、かえって苦手意識を助長するだけです。

著者はこれを料理を作る人と食べる人との比喩を用いて説明します。

料理を食べる人には、料理を作るための知識は要りません。当たり前です。決算書も、これと同じです。決算書を読む人には、決算書を作るための知識は要りません(5頁

 本書では、普通の入門書ではほぼ必ず触れられている複式簿記の原理や会計基準といった点の説明は殆どされず、(会計に精通していない)読み手にとって決算書のどこに着目すべきかを極力ポイントを絞って説明しています。

この手の本では、著者の殆どは公認会計士・税理士といった会計専門家です(本書の著者もそうです)。これらの会計専門家は当然ですが圧倒的な知識量があるので、あれもこれもということでつい会計の専門的な説明をしてしまいがちです。しかし、本書ではあえてそのような説明はばっさりカットしてくれているので、会計の知識が全くない初心者でもストレスなく読み進めていくことができます。

 

また、実際の企業の決算書も紹介しながら、読むべきポイントやそれを踏まえた分析も説明しており、もっと決算書を読んでみたいと思わせてくれます。

まとめ

入門書とは、初心者が苦手意識を持たずにその分野の概要をイメージできるようにし、次のレベルの本に進むためのきっかけを与えてくれる本であることが望まれます。入門書といいながら、専門的な説明ばかりで苦手意識を持たせてしまっては本末転倒です。

しかし、本書を読むにあたって会計の知識は全く必要なく、自信をもっておすすめできる入門書です。

 

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