書評の道

主に本の読書感想を行っています。ジャンルは、実用書、歴史が比較的多いです。


長谷川秀夫教授の過労死「情けない」発言の炎上について思うこと(出所の確認が大事という話)

電通の女性新入社員が自殺したことについて労災認定が下りたとのニュースが話題になりました。

夢と希望を抱いて会社に入ったはずなのに自ら命を絶つことを選択してしまったことはあまりに痛ましく、またご遺族の心情を思うと言葉もありません。女性のものとされるツイッターから窺われる限り、労働時間だけでなく精神的に追い詰められるようなひどい職場環境だったようです。電通は今回の事件を踏まえて原因究明を徹底するとともに再発防止に真摯に取り組んでほしいと思います。

 

このニュースに関連して、武蔵野大学の長谷川秀夫教授が「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」と投稿したことで、大炎上しています。ツイッターを始めとして、ネット上で長谷川教授批判のコメントで溢れています。

僕もこの発言は批判されて当然と思いますが、今回の記事の趣旨は、この発言の当否を論じることではありません。

電通の自殺女性に対する発言ではなかった

ネットで確認する限り、長谷川教授の発言を批判するコメントはほぼ例外なく、長谷川教授が自殺した女性に対して「情けない」と発言したことを前提としています。

例えば、こちらのNAVERまとめでも、タイトルからして「電通社員の高橋まつりさん過労死に」「情けないと発言」としています。

武蔵野大学 長谷川秀夫が電通社員の高橋まつりさん過労死に残業100時間超で自殺は情けないと発言し炎上 - NAVER まとめ

 

僕も当初は、電通社員の自殺についてなされた発言と思っていました。しかし、どうやら、この発言は、過労死白書が発表されたという報道を受けてなされたもののようです。元のコメントが削除されているので断言はできないのですが、保存されているこちらのキャプチャを見ると、過労死白書の報道に言及する形の発言となっていることが分かります。

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つまり、長谷川教授は、自殺した電通の女性に対して情けないと発言したわけではなかったことになります。

過労死白書発表の報道と、電通の自殺した社員の労災認定の報道が期せずしてほぼ同時期になされたことで、「情けない」発言が女性の自殺についてなされたものという誤解が広まったものと思われます。

批評するときはその発言の出所を確認することが大事

 もちろん、自殺した女性に対して直接向けられた発言ではないからといって、過労死を情けないと発言したことは非難されて当然でしょう。

しかし、ある人の発言を批評(肯定、否定どちらも含む)する際には、その発言がどのような文脈で何に向けてなされたのかという前提となる事実関係を正確に押さえておく必要があると思います。その前提部分が誤っていると、そもそも議論がかみ合わず、かえって的外れな批評となる危険があります。

その意味では、女性の自殺についてなされた発言であることを前提として批判するのはやはりアンフェアではないかと思います。

今回のような炎上事件では、問題となった発言やコメントが次々と拡散していき批判のトーンも激しくなります。その流れにすぐに乗ってしまうと、無自覚のうちに、誤った事実関係を前提とした批判となっている危険性があるので、やはりその問題となった発言の出所を自ら確認する必要があるのではないかと思いました。

 まとめ

色々と偉そうなことを書きましたが、僕もたまたま見た記事の中で「情けない」発言が過労死白書に対してなされたものであることを知ったので、もしこの記事を見なかったら、過労自殺した女性に対して「情けない」と発言したのだと思い込んだままだったと思います。

そのため、 改めて発言の出所を確認する必要があることに気づかされたので、自戒を込めて今回記事にさせていただきました。