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書評の道

主に本の読書感想を行っています。ジャンルは、実用書、歴史が比較的多いです。


【書評】中田考「イスラーム入門」

仏教キリスト教であれば日本でも一定数の信者がいるのですが、日本人のイスラム教徒となると非常に稀で、どうしてもイスラムというと馴染みのない縁遠い存在に思ってしまいがちです。

しかし、世界三大宗教の1つであるイスラム教についてはやはりある程度の知識を持っておく必要があるように思います。とはいえ、いきなりクルアーンを読むのもハードルが高い・・・。そこで、今回たまたま手に取って読んだ中田考イスラーム入門」(集英社新書)が、手軽に読めるイスラム入門としてよかったので紹介します。

著者の中田考さんは、イスラム教徒(ムスリム)にして、カイロ大学で博士号も取得したイスラーム学者です。イスラム教のイロハを説明するには最適の人材といえるでしょう。

 

「文明の共存を考えるための99の扉」という副題がついているとおり、本書はイスラム教に関するテーマを99個取り上げて、そのテーマごとに短い解説(2~3頁程度)をするという内容になっております。

 

冒頭から日本人のイスラム教の理解の誤りを鋭く指摘します。

イスラームの教えで最初に知るべきことは、イスラームを教えることができるのは預言者ムハンマドだけだということです。イスラームについて、個人であれ、機関であれ、正しさを保証された「公的権威」のようなものがある、と思いなすことは、キリスト教仏教に影響された誤解、そしてハラール認証ビジネスのように国家の認証を有難がる現代日本人の偶像崇拝的心性の産物であり、イスラームの理解を妨げるヴェールなのです。

では、どうすればいいのでしょう。

預言者ムハンマドの伝えたクルアーンと彼の言行録ハディースに立ち戻って考えることです(15頁)。

 

僕も、イスラム教においては権威ある学者の解釈が他のムスリムを規律するという認識を持っていたのですがそれは大いなる誤解ということですね。イスラムを正しく教えることができるのは唯一ムハンマドにすぎず、それ以外の人間の見解や解釈が正しい保証はどこにもない。

 

他にも、ムハンマドクルアーンスンナ派シーア派の違い、ラマダン(断食)といった多種多様なテーマに加え、イスラムに関わる歴史上の重要人物も取り上げられています。どのテーマも2~3頁程度の説明なので読みやすく、どこから読み始めてもよい構成になっています。

 

本書で取り上げられたテーマは、僕自身全く知らなかったか、あるいは誤った理解をしていたものも多く含まれており、いかにイスラム教のことを知らなかったかということを痛感させられました。

本書はあくまで入門であり、これ一冊を読んでイスラム教のことを深く理解できるものではありません。しかし、日本のイスラム学者による解説ということで、正確なイロハを知るためには最適の入門書といえるでしょう。

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