書評ブログを始めて良かったこと
書評ブログを始めて6か月が経ちました。まだまだ記事数も少ないですが、ブログを始めたことで自分の中で本との向き合い方や意識が変わったと思います。
ブログを始めて良かったことをまとめてみました。
自分の考えを整理できる
頭の中で何となく考えたり思いついたことを文章という形でアウトプットすることで、自分の考えを明確化して整理できるようになったと思います。
備忘録として使える
本を読んで「面白かった」「役に立った」と感じても、時間が過ぎるとどんどん記憶が薄れていき、結局その本から学んだことも忘れてしまうことも多かったです。しかし、書評ブログを始めてから、そのとき自分が読んで役に立ったと感じたポイントを記事にするので、後になって読み返すことができます。
本の重要なポイントに着目できるようになった
書評記事を書くときには、当然ながら本の全ての情報を紹介することはできません。そのため、どうしてもメリハリや取捨選択が必要となり、自分にとって特に重要なポイントに絞って書くことになります。書評ブログを始めてから、本を満遍なく読むのではなく、著者が最も伝えたいであろう核心部分を意識して探すようになりました。そのおかげで、メリハリのついた読み方ができるようになったと思います。
記事を書くことはモチベーション維持やネタ探しに苦労することもあり楽しいだけではありませんが、自分としては書評ブログを始めて本当に良かったと思います。今後もマイペースではありながらもコンスタントに記事を書いていきたいと思います。
【書評】「世界史としての日本史」:広い視野を持って日本を考えることができる良書
先の戦争については、侵略行為であり深く反省すべきという意見がある一方、欧米の圧政からアジア諸国を解放するための正義の戦争であったとして賛美する論調もあり、イデオロギーも絡み合った激しい応酬がされることが多いです。
しかし、どのような立場をとるにせよ、戦争に至るまでの経緯や戦争中に起こった出来事を、事実ベースで正確かつ冷静に把握することが大前提です。この前提を抜きにして、事実誤認あるいは重大な事実が抜けたまま論じても何の意味もありません。
今回紹介する、半藤一利・出口治明「世界史としての日本史」は、先の戦争が正しいか、間違っていたかという主義主張ではなく、当時の世界情勢やそのとき日本の首脳部がどのように考えたのかといった点を分かりやすく示してくれます。
半藤一利さんは昭和史研究の第一人者で、昭和史に関する数多くの著作があります。このブログでも取り上げた「昭和史」は、昭和の始まりから戦争に至るまでの プロセスが分かりやすく簡潔にまとめられており、昭和史を知るための最良の入門書といえます。
「昭和史」に関する過去の記事はこちら。
出口治明さんはライフネットのCEOを務める一方、稀代の読書家として知られ、世界史の造詣も非常に深い方です。
出口さんが執筆された「仕事に効く教養としての『世界史』」は以前このブログでも取り上げました。
本書は、日本史・世界史に精通したお二人の対談をまとめたものです。
先の戦争について中心にお二人がそれぞれの見解を述べておられます。
初めて聞く話も多く、興味深く読むことができたのですが、とりわけ僕が読んで参考になったのは以下の点です。
日露戦争は出口戦略がしっかりしていた
日露戦争では、日本の首脳は戦争を終わらせる方法を最初から考えており戦争に臨んだということが紹介されています。その例として、伊藤博文の側近の金子賢太郎がセオドア・ルーズヴェルト大統領にロビー活動して、仲介をしてくれるよう工作したということが挙げられています。
これに対し、太平洋戦争では、日本の指導者達は、戦争の終わらせ方についての戦略がなかったとしています。
太平洋戦争とはそこで全然違うんですよね。昭和の政治家も軍人も戦争の終わらせ方を考えもせずに開戦に強引に踏み込んでいる(p93)。
戦争というのは一度始めると簡単に終わらせることはできませんし、多大な犠牲を伴います。そのためには、どのような形で決着をつけるのかを入念に考えなければならないはずなのに、太平洋戦争のときにはそのような出口戦略がなかった。その事実にただ戦慄するとともに、祖国のために必死で戦って散っていった先人達の犠牲は何だったのかと考えると気の毒でなりません。
出口戦略を考えなければならないというのは、戦争に限らず、例えば企業が行う大規模な投資にもあてはまるのではないでしょうか。いきあたりばったりで考えるのではなく、どのような事態が生じたらどう対応するのか、どのような場合に撤退するのか、事前に考えておくことの重要性を感じました。
無条件降伏に固執したアメリカにも問題がある
戦争の終結が長引いたのは、早く無条件降伏しなかった日本が悪かったという論調も根強いように思います。僕も学校の授業など学んだ限りではそのような印象を持っていました。
しかし、本書では、無条件降伏に固執したアメリカのルーズヴェルトにも問題があったと指摘しています。
チャーチルとのカサブランカ会談では、断固として無条件降伏以外ではこの戦争をやめない、徹底的に日本とドイツをつぶすと、無条件降伏以外は認めないと宣言しています。
それに対し、チャーチルは、それを言い出すと戦争が終わらない、無限に続けなければならなくなると反対するんですが、ルーズヴェルトは聞く耳をもたないんですね。死ぬまで大いなる旗印として掲げた。日本からすれば、この無条件降伏ほど、この戦争を惨憺たるものにした要因はないんですよ。無条件では何をされるかわからないんだから、徹底抗戦するしかないと思い込んでしまいますよ(p189~190)。
日本にとっての正義の聖戦だと美化するのではなく、かといって全て日本が悪かったと過度に自虐するのではなく、相手国であるアメリカの対応についても問題がある点は冷静に批判するといったバランスのとれた視点が重要だと思いました。
まとめ
先の戦争については、正義の聖戦か侵略戦争かといった両極端な評価がいまだ多いように思います。その是非はともかくとして、何が起こったのかを事実ベースでとらえなおし、そこから学ぶことがないかといった視点でとらえなおす必要があります。
本書は、そのような視点を養うのに大変役に立つと思います。
ストップウォッチ活用によるタイムマネジメント
当たり前のことですが、一日のうち自分が自由に使える時間には限りがあります。時間が無限にあるのであれば一つの作業ごとにじっくりと取り組むことができるのですがそういうわけにもいきません。
僕自身、仕事が早い方ではなく、効率よくスピーディにこなせないか、ずっと悩んでいました。
あるとき、尊敬できる人からストップウォッチの活用を勧められました。半信半疑だったものの、実際に使ってみると想像以上に仕事がはかどりました。それ以来、タイムマネジメントにストップウォッチが欠かせなくなり、そのおかげでかなり作業もスピード化ができたように思います。
ストップウォッチ活用の具体的な方法
これは非常に簡単で、以下のような流れです。
・自分が行おうとしている作業にかかる見込み時間を予め算定
・ストップウォッチを傍らに置き計測開始
・見込み時間を超えた場合にはいったん作業を中断→原則として作業終了して別の作業に入るが、どうしても必要がある場合には同じ作業を続ける
ストップウォッチ活用のメリット
時間による制限がないとどうしてもダラダラとやってしまいがちです。しかし、ストップウォッチ計測により、今やっている作業にかかっている時間が客観的に分かり、強制的に中断する契機となります。
また、計測の記録を続けることで、自分の見込時間と実際の所要時間との差が明確に分かるようになり、その見込みの精度も向上します。
まだタイムマネジメントには課題がありますが、ストップウォッチの活用はすぐに導入でき、効果も十分ありました。
時間の使い方に悩んでいる方は、騙されたと思って一度ストップウォッチを活用されてはいかがでしょうか。
読んでみたい歴史上の名著
古今東西、歴史上の名著と呼ばれる本が多数あります。まだ全然読めていませんが、たまには新書ではなく、長年にわたって読み継がれている本をじっくり読んでみたいと思います。
備忘録も兼ねて、いつか挑戦してみたい本をまとめました。
目次
1 ヨーロッパ関係
ヘロドトス「歴史」
非常に有名な「エジプトはナイルの賜」のフレーズがある本ですね。歴史の父とされているヘロドトスの考えや体験した事実を見てみたいです。
プルタルコス「英雄伝」
古代ローマの史家であるプルタルコスが古代ギリシア・古代ローマの偉人を、共通点の多い者を2人1組で対比しながら論じた本。
カエサル「ガリア戦記」
古代ローマ最大の英雄と言っても過言ではないユリウス・カエサルによるガリア遠征をまとめたものです。簡潔で無駄のない文体であると評価されることが多いようですが、実際にはどのようなことが書かれているのか気になります。
エドワード・ギボン「ローマ帝国衰亡史」
ローマ帝国衰亡史〈1〉五賢帝時代とローマ帝国衰亡の兆し (ちくま学芸文庫)
- 作者: エドワードギボン,Edward Gibbon,中野好夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/12
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近代イギリスの歴史家であるギボンが、五賢帝以後のローマ帝国の衰退の様子をまとめたものです。チャーチルやネルーも夢中になった読んだそうです。
マキャベリ「君主論」
- 作者: ニッコロマキアヴェッリ,Nicoll`o Machiavelli,河島英昭
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1998/06/16
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中世の官吏であったマキャベリが徹底的な現実主義に立って、理想の君子像を説いた本。中国の法家と重なるところがあります。
2 中国関係
司馬遷「史記」
中国における歴史書のお手本となった司馬遷による不朽の名著。
韓非「韓非子」
法家の立場から政治の在り方や官吏の心構えを説いた本。秦の始皇帝も大いに参考にしたそうです。
陳寿「三国志」
三国志演義ではなく、歴史書の方の三国志。劉備を理想君子化していない等、演義で描かれる世界とは大きく違う三国時代の実像を知りたいです。
「貞観政要」
唐の太宗李世民の政治に関する言行を記録した書。 君主と部下の理想像が描かれているとのこと。
改めてまとめてみると、いずれもタフそうな本で、簡単に読破できそうにはありませんが、名著と呼ばれる本に触れることで自分の成長の糧にしたいです。
書評記事を書くときに便利な書見台
僕の書評記事には対象となる本の印象的なフレーズを引用することが多いです。そのため、書評記事を作成するときには、引用するページを開きながらパソコンで打ち込むという作業をすることになります。
ただ、片手で本のページを押さえながらもう片方の手でパソコンで入力するのはとても面倒で非効率です。重しを使ってページを押さえるという手段もあるのですが、本が平らに置かれた状態では読みづらいです。
そこで、最近は書評記事を書くときには、書見台を使うことにしました。
ちなみに僕の方で使っているのはこちらのエレコムの書見台です。
これは左右に頁を固定するフックが備え付けられているほか、角度も調整できるので自分が見やすい形にできるので便利です。
書評記事執筆時に限らず、仕事で資料を見ながらパソコンで入力作業をするときにもこの書見台は重宝します。
資料や本を参照しながらパソコンで作業をする場合、書見台を使うことで効率化が図れますので、おすすめです。
【書評】「小さな会社の稼ぐ技術」:弱者ならではの生き残り戦略
目次
日本の会社の99%を占める中小企業ですが、その多くは大手の下請けになっていたり、過酷な労働環境が常態化したり、赤字続きと苦しい実態です。しかし、中小企業・零細企業であるという点を活かして、大手には手出しができない商売の仕方で大きな利益を出している企業も少数ながら存在しています。
今回紹介する栢野克己著・竹田陽一監修の「小さな会社の稼ぐ技術」(日経BP社)は、そのような中小企業でありながら独自の商品や売り方で売り上げを大きく伸ばした成功企業の実例と成功の法則を豊富に紹介しています。
弱者の戦略
本書は、軍事戦略で用いられてるランチェスターの法則を応用し、圧倒的1位の企業がとるべき「強者の戦略」と、2位以下の「弱者の戦略」とを区別し、中小企業はまさにこの「弱者の戦略」をとるべきとしています。
そして、その弱者の戦略の特徴として次の4点を挙げます。
①差別化:強い会社と違うことをする
②小さな1位:小規模1位、部分1位、何かで1位
③一点集中:あれこれしない。1つに絞る
④接近戦:エンドユーザーに直接営業する
どれもなるほどと思ったのですが、僕が特に参考になったのが、③の一点集中です。
本書では、中小企業あるいは零細個人事業主は、仕事を欲しがるあまり「何でもやります」ことをアピールすることを戒めます。
「うちは何でもやっているのに、なぜうまくいかないのか?」
「それは何でもやっているからです(笑)」(81p)
しかし、「何でもやります」は基本的に強者の戦略であり、資源も人員も豊富にある大手であればどのようなニーズにも対応でき、更にスケールメリットを生かしてコストを削減することができます。資源も人員も貧弱な中小企業が太刀打ちできるはずもありません。
そこで、「何でもやります」という全方位戦略を捨て、大手が手を出さないような分野・ニーズに絞ったほうがいいことになります。
もちろん、理屈では分かっていてもいざ実行にうつすことは簡単ではありません。
自分とライバルの実力を客観的に見比べ、勝てる商品・地域・客層に一点集中する。一言で言うと、他の9割は捨てる。言うは易し、行うは難し。勇気と決断力がいりますね(p83)
実行に移すことがいかに大変で勇気がいることか。それでも、大手との価格競争によりじり貧にならず売り上げを伸ばしていくためには、やってみるしかないということなのでしょう。
アナログ路線も有効
顧客に対して広告用のDMを送ったり、宣伝用のハガキを送ることは容易ですし、大手をはじめとして多くの企業が当然のように行っています。
しかし、本書では、印字された文書が書かれたものではなく、あえて手書きでの手紙を送ることが、顧客の心をつかむ強力な武器になることが豊富な具体例をもとに紹介されています。
・大量生産のチラシでも、手書きで個別メッセージを1行書いたら、オーダーメイドのチラシになります。
・弱者は、いかに手作りのところを入れるかがコツです。「そんなことは面倒くさい」というのは強者の発想です(p208)
確かに、メールや郵便、チラシと大量の宣伝系の情報があふれている中、あえて手書きのメッセージが添えられているとそこに着目し、不特定多数ではなく1人の人間として認識してくれていると親近感を覚えます。
ネットが発達して情報があふれている今の時代だからこそ、あえて手書きにこだわることが大事という点はとても参考になりました。
参考になった具体例
本書は、弱者の戦略をうまく活用して成功した企業や事業者が豊富に紹介されています。詳細は本書をお読みいただくとして、個人的に特におもしろい、参考になった と感じたのは以下の事業あるいは業態です。
・ロゴマーク専門のデザイナー
・日報に特化したコンサルタント
・新築住宅クレームを引き受ける事業
・相見積もりの段階で御礼ハガキを出す
・不動産オーナー向けに損害保険による修繕費捻出を引き受ける
まとめ
分かりやすい文章で一気に読めます。一見するとレッドオーシャンで新規参入の余地はないと思われる業界であっても、視点を変えて創意工夫すれば零細事業者であっても売り上げを伸ばすことができることが豊富な実例で紹介されています。
一生懸命頑張っているもののなぜか売り上げに結びつかない事業者にとっては非常に参考になると思います。
新聞記事の切り抜きによる情報整理の効用
1月6日のNHKあさイチプレミアムトークに池上彰さんが出演しており、新聞の活用の仕方や情報整理術等をレクチャーしていました。
そのときの感想をまとめた記事はこちらです。
上記の記事でも紹介していましたが、池上さん流の新聞の情報整理術が大変参考になりました。
具体的には、
・すべての記事を丹念にチェックしない
・紙面を最初から最後までざっと見た上で気になる記事だけを新聞から切り取ってクリアファイルに入れて保管
・切り抜いた記事をテーマごとに分けて必要に応じてそれを確認する
というものです。
番組を見てから、さっそく僕もこの方法を実践するようにしました。1か月程度続けてみた結果、今までよりも新聞を使えているという実感を持てるようになりました。
この方法を使うことの効果を僕なりにまとめました。
1 実行のハードルが低くすぐに取り入れることができる
新聞というと、すべての記事をしっかり読まないといけない気になっていました。しかし、丹念に読まないと思うあまり、なかなか読む時間がとれないというのでは本末転倒です。それに比べ、ざっと見て気になるところだけ切り抜くという方法は全く難しくなく、時間もかからないので続けやすいです。
2 改めて読むことで記憶が定着する
1回読んだだけではなかなかしっかりと覚えることは難しいですが、切り抜いた記事を改めて参照することで記憶が定着するという実感があります。また、他の記事と組み合わせて読むことで、新たな発想が生まれることもあります。
3 時間を置いて記事を過去化することで、現在との比較ができる
新聞というのは、そのときの最新のニュースを伝えるもので速報性が高いものが多いです。しかし、時間が経つと当然その記事は過去のものとなります。ある程度時間が経ってから改めて過去の記事を読むことで、現在と比べて政治家がどのような言動をしていたか、また新聞記者や編集委員がどのような視点で報道していたかを比較することができ参考になります。
例えば、1月21日の日経では、トランプ新政権に関してメキシコ国境に壁を作るという公約の現実味に乏しいと評しており、実行に移される可能性は低いという視点でした。しかし、現実には、トランプ大統領は壁を作るという大統領令に署名しており、単なるパフォーマンスではないことが明らかになりました。
このように過去記事を参照することで、メディアが予想していたことが現実には外れたということが浮き彫りになり、記事を鵜呑みにしてはいけないという教訓にもなりました。
いかがでしょうか。切り抜き作業はごく短時間ですることができ、忙しいビジネスパーソンにもおすすめの方法です。もっとも、僕も新聞をうまく活用できているとはまだいえません。継続は力なりということで、今後もコツコツ続けていくことでもっと深い分析ができるようにしたいと思います。