書評の道

主に本の読書感想を行っています。ジャンルは、実用書、歴史が比較的多いです。


【書評】半藤一利「昭和史1926‐1945」:昭和史を知るための最適な入門書

戦後70年が過ぎ、先の戦争を体験した人はどんどん減っており、記憶の風化が懸念されるところです。学校の授業でも戦争のことは必ず習いますが、どうしても「あの戦争は悪だった」という視点が中心となり、いかに戦争の被害が重大だったかという説明がされる傾向にあります。もちろん、あの戦争がどれだけの被害をもたらしたかということを知ることは極めて大事だと思います。ただ、その悲惨な戦争をもう繰り返さないというためには、なぜあの無謀な戦争に至ってしまったのかというプロセスを知っておく必要があります。戦争や昭和史に関する書籍は膨大ですが、その中でも半藤一利さんの「昭和史」が最初に読む一冊としては最もおすすめです。

 

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

 

分かりやすい語り口

 この本は、若い編集者が昭和史を理解できるようにするために、半藤さんが講義形式で語った内容(半藤さんの表現を借りれば「昭和史講座のための寺子屋」)をまとめたものです。

もとが講義形式ということもあって、平易な語り口ですらすらと読んでいくことができます。教科書では無味乾燥な説明で終わっている出来事を、背景事情やその出来事の持つ意味や後の出来事への影響等を、半藤さんの圧倒的な知識をもとに丁寧に説明してくれます。多くの政治家や軍人もアメリカを敵に回すことが無謀であることは分かっていたのに、結局は破滅の道を選んでいってしまう。アメリカとの参戦の決意も、合理的かつ確固たる国家方針でされたのではなく、曖昧で楽観的な予測のもとでいわば行き当たりばったりで突き進んでしまったという点は、背筋が凍る思いがしました。

 

むすびの章で、半藤さんは戦争に進んでしまった昭和史の教訓をまとめています。それは、国民的熱狂をつくってはいけないことや、具体的な理性的な方法論ではなく抽象的な観念論に逃げてはいけないことといった点ですが、これらの教訓は、現代の日本でも十分通用するように思えました。

 

まとめ

 戦争に至る昭和史全般を本当に分かりやすく解説してくれているので、昭和史を知ろうという人はまずこの本を手に取ってみることを強くおすすめします。先日ブログで紹介した出口治明さんがこの本を絶賛したのもうなずけます。

 

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