【書評】「会計参謀-会計を戦略に活用する」:会計と経営戦略とのつながりがよくわかる!
目次
谷口学「会計参謀-会計を戦略に活用する-」
本書の簡単な内容
公認会計士や税理士といった会計の専門家以外でも会計の重要性は認識されており、書籍も数多く出版されています。私もいくつか会計本は読んできましたが、その中でもこの本は非常に画期的だと思いました。
これまでの会計本は会計指標の意味や計算方法の解説に終始していたと思います。しかし、複雑な用語や独特の計算式を読んでいってもそれがどのように会社経営に生かされるのかイメージがつかめず途中で読むのがいやになることもしばしばでした。
この本は、冒頭の説明文で「会計と経営戦略をつなぐ架け橋です」と紹介されているとおり、単なる用語説明ですませるのではなく、会社の経営戦略において会計情報がどのような形で生かされているのかが様々な場面に応じて解説されており、抽象的な会計ではなくまさに「生きた会計」をイメージすることができます。
例えば事業ポートフォリオの事業評価指標として、ROEやROA、フリーキャッシュフロー、EVA等の様々な指標が登場しますが、これらを並列的に説明するのではなく、それぞれの指標のメリット・デメリットやどのような場面で用いられるべきものかが丁寧に説明されています。
また、M&Aの場面での会社の価値の算定方法、製品を自製にするか外注するかを意思決定するにあたって用いられる会計指標等も説明されています。
著者の文章もとても分かりやすく、会計本にありがちな難解な説明はなくストレスを感じることなく読み進めることができました。
分かりやすい比喩
比喩も巧みで「企業経営を漁船の操業に例えるならば、事業ポートフォリオの決定は、どの海域で網降ろすかということであり、事業評価指標とは、どのような判断基準で操業する海域を選択するか、ということになる。」(76p)、「会計数値は経営における羅針盤、速度計、燃料計であり、経営判断を行う上で客観的な情報を提供するものである。大切なことは、その客観的な指標を読み取って、どのような行動を起こすかにある。」(150p)という説明は大変分かりやすく、すっきり理解できました。
まとめ
会計というと難しく苦手意識がありましたが、本書を読んで会計の重要性と戦略上の位置づけについて具体的なイメージがもてるようになり、興味を持って会計を勉強することができそうです。
会計について苦手意識を持っている方には特におすすめです。個人的には、今まで読んできた会計本の中でのベストです。
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