歴史の魅力に目覚めさせてくれた3冊
私は、もともと歴史については人名や年号をひたすら覚えていくという暗記科目というイメージが強く、好きにもなれませんでしたし興味もありませんでした。しかし、今では歴史の魅力にとりつかれ、書店に行っても歴史コーナーに立ち寄るのが楽しみになっています。
歴史の面白さを認識させてくれた本を紹介します。
ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/07/01
- メディア: 文庫
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いわずとしれた人気シリーズですね。シリーズの中では「ユリウス・カエサル」編も人気ですが、私はこちらのハンニバル戦記をナンバーワンに推したいと思います。ハンニバルの縦横無尽な戦術と圧倒的なリーダーシップや一度は壊滅寸前まで追い詰められたローマがスキピオという英雄を得てザマの戦いで大逆転するというドラマチックな展開は、平凡なエンターテイメントをはるかに凌ぐ面白さです。教科書ではわずか数行で終わっていた出来事の裏側にはこんなに深い物語があったのだと思い、衝撃を受けた記憶があります。ローマ史、そして歴史の面白さを知るきっかけを与えてくれた思い出深い本です。
2.エイミー・チュア「最強国の条件」(講談社)
特定の時代や国家についてではなく、世界史の中で圧倒的な覇権を誇った「最強国」(アケメネス朝ペルシア、古代ローマ、唐、オランダ、アメリカ等)について分析した本です。これらの最強国に共通する特徴として、民族や宗教にとらわれず才能ある人材を積極的に活用していくという「寛容さ」があると結論付けています。時代も地域もバラバラで一見何のつながりもなさそうな最強国に実は「寛容さ」という共通項があったという視点に目から鱗が落ちました。
3.加藤陽子「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」(新潮文庫)
日中戦争から太平洋戦争開始に至るまで、当時の日本の指導層が何を考えどのように行動したのかを分析した本です。指導層の決断について後方視的に断罪するのではなく、当時の世界情勢や日本の置かれた立場を踏まえつつ複数の選択肢がある中でなぜそれを選んだのかという「当事者の目線」で丁寧に説明してくれている点が大きな魅力です。戦争がもたらした悲惨さを知っている我々としては開戦を決意した指導層を無条件で非難しがちですが、決断に至るプロセスを丹念に分析していくことが本当の意味で過去から学ぶということを実感させてくれた本です。