【書評】「レッドオーシャンで儲ける7つの法則」:イノベーションは天才でなくても起こせる
高度経済成長が過去のものとなり、グローバル化が進み競争が激化した現在の日本において、企業が成長を続けるにはイノベーションが大事だということが叫ばれています。しかし、そのイノベーションはどうやって起こせばよいのか分かりません。イノベーションというと、スティーブジョブズのようなカリスマ経営者の天才的な閃きが不可欠なようにも思えます。
しかし、今回紹介する高橋正明「レッドオーシャンで儲ける7つの法則」(マイナビ新書)は、凡人であっても正しい戦略を立てれば、イノベーションを起こす確率を高めることが可能であることを教えてくれます。
イノベーションを起こすための戦略があった
この本は、まずイノベーションというのは、狙い通りに的中させることは難しく、偶然の要素で起こる、つまり必勝法はないという前提にたちます。
ビジネスの世界では、環境は常に変化するので、同じ法則を使っても、同じ結果は期待できません。残念ながら、レッド・オーシャンを脱して儲ける「必勝法」は存在しないのです(45頁)。
しかし、必勝法はないのであれば、試行錯誤を重ねることで勝率を高めるという発想の転換をすべきとします。つまり、失敗は当たり前ということを前提として、トライアンドエラーの繰り返しによって、「当たり」が出るのを待つということです。
本書では、イノベーションの成功確率を高める方法として、以下の7つの法則を挙げています。
・法則1 身近なところから考える
・法則2 既存の製品・サービスを徹底的に分解する
・法則3 既にあるコンセプトを別の場所で実現する
・法則4 足したら引く、引いたら足す
・法則5 失敗を日常にする
・法則6 走りながら考えよ
・法則7 焦るな!スピードよりも持続力
僕なりにまとめると、業界で当たり前となっている既成概念を疑い、自分達が提供している商品やサービスの要素を徹底的に分解してその要素を付け加えたりもしくは引くことを考えてみる、あとは失敗を気にせずにとにかく色々と試してみる、ということなのかなと思います。
まとめ
本書には、天才の閃きや一か八かの博打に任せるのではなく、イノベーションを起こす確率を高めるための具体的な方法論が書かれています。イノベーションを扱った本の多くが、この企業はこんな取り組みをして成功したといった結果論からみた事例報告で終わっており、参考にはなってもいかにしてイノベーションを起こすのかは書かれていません。
しかし、本書は適宜具体例を出しつつも普遍的・一般的な法則を導き出したうえですぐにでも実践できるノウハウを教えてくれているので、新たな取り組みを考えている経営者や企画担当者にとっては非常に参考になるのではないでしょうか。